民法 条文 | 民法 解説 |
---|---|
第2編 物権 第9章 質権 第4節 権利質 |
|
第362条 【権利質の目的等】 ? 質権は、財産権をその目的とすることができる。 ? 前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前3節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。 |
? 質権は財産権それ自体を目的として設けることができる。 ? ?の財産権自体を目的として成立した質権については、本節に定められている以外にも、性質に反しない限り本章の総則、動産質、不動産質についての前3節の規定も準用される。 経済的価値を持つものは、物自体だけではなく、債権とか株式とか地上権とか永小作権など権利である場合も多い。このような財産権を質の目的としたのが権利質である。 例えば、Aが銀行に預けてある5万円の定期預金を質としてBからお金を借りることが認められている。 |
第363条 【債権質の設定】 債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するものを質権の目的とするときは、質権の設定は、その証書を交付することによって、その効力を生ずる。 |
質権が、譲渡に証書の引渡しを要する債権を目的とする場合には、この証書を引き渡すことによって質権が成立する。 譲渡に証書の交付を要する証券的債権についてだけ債権質の設定契約の要物性を認め、単なる指名債権については証書の交付は不要である。 |
第364条 【指名債権を目的とする質権の対抗要件】 ? 指名債権を質権の目的としたときは、第467条の規定に従い、第三債務者に質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。 ? 前項の規定は、株式については、適用しない。 |
? 指名債権を質権の目的としたときは、債権の譲り渡しについて定める第467条の規定に従って、その債権についての債務者(第三債務者)に質権の設定を通知するか、またはこの債務者の承諾を得なければ、この債権が質権の目的となっているということを第三債務者や他の第三者に主張することができない。 ? ?の規定は、株式を質権の目的とする場合には、適用されない。 指名債権については、第467条を参照。 |
第365条 【記名社債を目的とする質権の対抗要件】 記名社債を質権の目的としたときは、社債の譲渡に関する規定に従い会社の帳簿に質権の設定を記入しなければ、これをもって会社その他の第三者に対抗することができない。 |
記名社債を質権の目的としたときは、社債の譲渡についての規定に従って、その社債を発行した会社の帳簿に質権を設定したという記入をしなければ、この社債が質権の目的となっていることを、その会社や第三者に対して主張することはできない。 記名社債とは、社債をもっている人の氏名が債権に書かれている社債のことである。 |
第366条 【指図債権を目的とする質権の対抗要件】 指図債権を質権の目的としたときは、その証書に質権の設定の裏書をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。 |
指図債権を質権の目的としたときは、その証書に質権を設定したということを裏書しなければ、質権の設定があるということを第三者に主張できない。 |
第367条 【質権者による債権の取立て等】 ? 質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。 ? 債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。 ? 前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。 ? 債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。 |
? 質権者は、質に取っている債権をみずから取り立てることができる。 ? 質にとっている債権が、金銭の支払を求めるものである場合、質権者は、自分の債権に当たる金額分につき取り立てることができる。 ? 質にとっている債権が支払の時期で、質権者の債権自体はまだ支払の時期ではない場合、質権者は、質にとっている債権の債務者(第三債務者)にその支払うべき金銭を供託させることができる。この場合、質権は供託された金銭について成立する。 ? 質にとっている債権が金銭の支払を求めるものでないときは、その債権に基づいて引き渡された物について質権が成立する。 例えば、A(質権者)が質にとっている債権が、Bが銀行に預金したお金である場合、Aはみずから銀行に支払を請求できる。ただし、Bが預金している金額が100万円で、AがBに貸したお金が10万円である場合は、10万円分だけ請求できる。 |
第368条 削除 |
昭和54年に民事執行法の制定により削除。 |
Author:民法マン
秩序のない現代にドロップキック!
RSSリーダーに下の文字をドラッグすると簡単に登録できます。