民法 条文 | 民法 解説 | ||||||||||||
第1編 総則 第2章 人 第4節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告 |
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第25条 【不在者の財産の管理】 ? 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。 ? 前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。 |
? 財産を残したままで、管理人もおかずにその住所または居所を去った者(不在者という)がいる場合、家庭裁判所は、利害関係人または検察官からの請求により、財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人が管理人をおいた場合でも、不在中に管理人の権限が消滅したときも同様である。 ? ?の規定により、家庭裁判所が不在者の財産について必要な処分をした後、本人が管理人をおいたときは、その管理人・利害関係人・検察官からの請求により、家庭裁判所はその命令を取り消さなければならない。 管理人もいないし、本人も当分帰ってくる見込みがない場合などのために本条は規定されている(不在者の制度)。 例えば、海外に行ったが、何らかの理由で滞在期間が延びたとする。その間に管理人との契約が切れてしまったとき、本人の親族などは本条の規定を利用することができる。 家庭裁判所の管理行為とは、管理人の選任や財産の封印・競売などがある。 |
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第26条 【管理人の改任】 不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。 |
管理人をおいた不在者の生死がわからなくなったときは、家庭裁判所は利害関係人または検察官からの請求により、管理人を改めて選任することができる。 | ||||||||||||
第27条 【管理人の職務】 ? 前2条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。 ? 不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。 ? 前2項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。 |
? 第25条と第26条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、管理の対象となっている財産の目録を作成しなければならない。作成費用は、不在者の財産でまかなわれる。 ? 管理人をおいた不在者の生死がわからなくなったとき、利害関係人または検察官からの請求があるときは、家庭裁判所は、管理人に対して、財産の目録を作成するよう命令することができる。 ? ?と?の規定のほかに、家庭裁判所は、不在者の財産を保全する上で、必要と認める処置を管理人に対して命令することができる。 |
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第28条 【管理人の権限】 管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。 |
管理人は、第103条に規定する権限(保存行為、利用行為、改良行為)を超える行為をする必要があるときは、家庭裁判所の許可を得なければならない。不在者の生死がわからなくなった場合、その管理人が権限を超える行為をする必要があるときも、同様である。 本条後半の不在者のおいた管理人の権限は、不在者と管理人との間の契約によりきまる。 |
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第29条 【管理人の担保提供及び報酬】 ? 家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について相当の担保を立てさせることができる。 ? 家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる。 |
? 家庭裁判所は、管理人に財産の管理や返還について相当の担保をたてさせることができる。 ? 家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情を考慮して、管理人に対して不在者の財産から相当の報酬を与えることができる。 管理人は管理人としての職務を忠実に行い、不在者が帰ってきたときに保管している財産を返さなければならない。もし、管理人が不在者の財産を減少させてしまったり、その職務を全うしなかったときのために?が規定されており、家庭裁判所は管理人に質権や抵当権を設定させたり、保証人をたてさせたりする。 ?において、管理人にそれ相応の報酬を与えることができる。 |
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第30条 【失踪の宣告】 ? 不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。 ? 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。 |
? 不在者の生死が7年間わからないときは、家庭裁判所は、利害関係人からの請求により失踪宣告をすることができる。 ? 戦地に行った者、沈没した船に乗っていた者、その他生命の危険を伴う災難に見舞われた者については、戦争が終わり、船が沈没し、災難が去ってから1年間、その生死がわからないときは?と同様とする。 利害関係人から請求があれば、家庭裁判所は、不在者の消息を知る者はその旨を届け出るよう公告をする。それでもわからない場合は、失踪宣告をする。 航空機事故などで死亡したことは確実であるが遺体が確認できない場合については、失踪宣告制度によらずに、はじめから死亡したものとして扱うことができる。 なお、?の場合を普通失踪、?の場合を特別失踪という。詳しくは以下の表を参照。
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第31条 【失踪の宣告の効力】 前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。 |
普通失踪(第30条第1項)の場合は期間が満了した時に死亡したものとみなす。特別失踪(第30条第2項)の場合は危難が去った時に死亡したものとみなす。 | ||||||||||||
第32条 【失踪の宣告の取消し】 ? 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。 ? 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。 |
? 失踪宣告を受けた者が生きていることがわかったとき、または失踪宣告による死亡時と実際に死亡した時が異なることがわかったときは、家庭裁判所は、本人または利害関係人の請求により、失踪宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪宣告後から取り消されるまでの間に、善意でした行為には何の影響もない。 ? 失踪宣告により財産を得た者は、失踪宣告の取消しにより財産に対する権利を失う。ただし、全てを権利者に返還する必要はなく、現に利益を受けている限度で返還すればよい。 現に利益を受けている限度とは、例えば、失踪宣告により得たお金を自分の生活費にあてていた場合などである。その分、自分の出費を免れているので現に利益を得ていることになる。逆に、失踪宣告により得たお金を競馬などで浪費した場合は、現に利益を得ているとは言えず、浪費したお金を返す必要はない。 |
2006年09月28日 第1編 総則 第2章 人 第4節 不在者の財産管理及び失踪の宣告 トラックバック:0 コメント:0
Author:民法マン
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