民法 条文 | 民法 解説 | ||||||||||||||||||||||||
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第4編 親族 第5章 後見 第2節 後見の機関 |
後見人と後見監督人などについては、下の図を参照。 後見人と後見監督人の簡単な違いは以下の表を参照。
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第1款 後見人 第839条 【未成年後見人の指定】 ? 未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。 ? 親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定により未成年後見人の指定をすることができる。 |
? 20歳に達しない未成年者の子の最後の親権者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、親権者でも財産管理権を持たない者は、未成年後見人を指定できない。 ? 親権者である父母の一方が財産管理権を持たないときは、もう一方が、?の規定により未成年後見人を指定することができる。 ?の場合、遺言の形式で指定できるのみであり、他の方法ではできない。 財産管理権を持たない場合については、第835条と第837条を参照。 |
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第840条 【未成年後見人の選任】 前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。 |
第839条の規定により未成年後見人となるべき者がいないとき、家庭裁判所は、未成年被後見人・その親族・その他利害関係人の請求により、未成年後見人を選任する。また、今までいた未成年後見人が死亡などして欠けた場合も、同様である。 第839条の規定により未成年後見人となるべき者がいない場合とは、最後の親権者が遺言で未成年後見人と指定しなかったときとか、親権者の一方が財産管理権をもたないときにもう一方が遺言で未成年後見人を指定しなかったときなどが考えられる。 |
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第841条 【父母による未成年後見人の選任の請求】 父又は母が親権若しくは管理権を辞し、又は親権を失ったことによって未成年後見人を選任する必要が生じたときは、その父又は母は、遅滞なく未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。 |
父または母が親権や財産管理権を辞退したり、親権を失ったために、未成年後見人を選任する必要が生じたときは、その父または母は、早急に未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。 | ||||||||||||||||||||||||
第842条 【未成年後見人の人数】 未成年後見人は、一人でなければならない。 |
未成年後見人は、一人しか選任できない。 未成年後見人は親権者と同様に未成年者の生活全般について注意を払う必要があり、未成年後見人が複数いると即座に未成年者のために決めなければならないことが容易に決断できなくなる可能性があるためである。 |
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第843条 【成年後見人の選任】 ? 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。 ? 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により、又は職権で、成年後見人を選任する。 ? 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により、又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。 ? 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。 |
? 家庭裁判所は、成年後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。 ? 成年後見人がいて、それが死亡やその他の理由でいなくなった場合、家庭裁判所は、成年被後見人・その親族、その他の利害関係人の請求により、または職権で、成年後見人を選任する。 ? 成年後見人がすでに選任されている場合でも、家庭裁判所は、必要があると認められるときは、成年被後見人・その親族、その他の利害関係人、成年後見人の請求により、または職権で、さらに別の成年後見人を選任することができる。 ? 家庭裁判所が成年後見人を選任する場合には、成年被後見人の心身の状態や生活や財産の状況、成年後見人となる者の職業や経歴や成年被後見人との利害関係の有無、成年被後見人からの意見、その他一切の事情を考慮しなければならない。 ?は、もし成年後見人が法人の場合、法人の事業の種類や内容、法人と法人の代表が成年被後見人と利害関係が有るか無いかも考慮しなければならない。 |
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第844条 【後見人の辞任】 後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。 |
後見人は、正当な理由があれば、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞退することができる。 本条により、辞退した後見人は、次の後見人の選任を請求する義務がある。 |
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第845条 【辞任した後見人による新たな後見人の選任の請求】 後見人がその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。 |
後見人がその任務を辞退したことにより次の後見人を選任する必要が生じたときは、辞退した後見人は、早急に次の後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。 | ||||||||||||||||||||||||
第846条 【後見人の解任】 後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。 |
後見人に不正な行為、ひどい不品行(不行跡)、その他後見人としてふさわしくない理由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人もしくはその親族、検察官の請求により、または職権によって、後見人を解任することができる。 | ||||||||||||||||||||||||
第847条 【後見人の欠格事由】 次に掲げる者は、後見人となることができない。 1 未成年者 2 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人 3 破産者 4 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族 5 行方の知れない者 |
次の場合は、後見人になることはできない。 1、20歳に達しない未成年者 2、家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人 3、破産した者 4、被後見人に対して訴訟をしている者、訴訟をしたことのある者、これらの者の配偶者や直系血族 5、行方不明者 4のように、被後見人と利害対立関係にある者も後見人となることはできない。 |
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第2款 後見監督人 第848条 【未成年後見監督人の指定】 未成年後見人を指定することができる者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。 |
20歳に達しない未成年者の最後の親権者は、財産管理権を持たない場合を除き、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。 未成年後見監督人とは、未成年後見人を監督する者である。未成年後見人の職務が公正に行われているか、未成年者の利害が害されていないかをチェックする。 未成年後見監督人は、必ず置かなければならないというわけではない。 |
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第849条 【未成年後見監督人の選任】 前条の規定により指定した未成年後見監督人がない場合において必要があると認めるときは、家庭裁判所は、未成年被後見人、その親族若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、後見監督人を選任することができる。後見監督人の欠けた場合も、同様とする。 |
第848条の規定により指定された未成年後見監督人がない場合に、必要があると認められるときは、家庭裁判所は、未成年被後見人・その親族または未成年後見人の請求または職権により、未成年後見監督人を選任することができる。未成年後見監督人がいなくなった場合も同様である。 家庭裁判所は、未成年後見監督人をおくかどうかは、後見される者の財産状態や、後見する者の人柄などを考慮して決める。 |
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第849条の2 【成年後見監督人の選任】 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、成年被後見人、その親族若しくは成年後見人の請求により又は職権で、成年後見監督人を選任することができる。 |
家庭裁判所は、必要があると認められるときは、成年被後見人・その親族または成年後見人の請求または職権により、成年後見監督人を選任することができる。 成年後見監督人は、必ず置かなければならないというわけではない。 |
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第850条 【後見監督人の欠格事由】 後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。 |
後見人の配偶者・直系血族・兄弟姉妹は、後見監督人になることができない。 | ||||||||||||||||||||||||
第851条 【後見監督人の職務】 後見監督人の職務は、次のとおりとする。 1 後見人の事務を監督すること。 2 後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること。 3 急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること。 4 後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。 |
後見監督人の職務は次のとおりである。 1、後見人の事務を監督すること。 2、後見人が欠けた場合(死亡・辞任・解任など)に、遅滞なく次の後見人の選任を家庭裁判所に請求すること。 3、後見人がいないとか、いてもその事務を行えないときに、急速に処理しなければならない事務があれば必要な処分をすること。 4、後見人と被後見人、後見人が代表する者と被後見人とで、利益が対立(相反)する行為について、被後見人を代表すること。 |
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第852条 【委任及び後見人の規定の準用】 第644条、第654条、第655条、第843条第4項、第844条、第846条、第847条、第859条の2、第859条の3、第861条第2項及び第862条の規定は、後見監督人について準用する。 |
以下の表の条文は、後見監督人について準用する。
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Author:民法マン
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