民法 条文 | 民法 解説 |
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第3編 債権 第3章 事務管理 |
民法では、契約に基づかない債権の発生原因として、事務管理、不当利得、不法行為の3つの制度を定めている。 事務管理については、下の図を参照。 |
第697条 【事務管理】 ? 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。 ? 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。 |
? 別に契約したわけではなく、また特に頼まれもしないのに、他人の仕事を行うことを事務管理といい、その者は、その仕事の性質に従って、最も本人の利益になるような方法でやらなくてはならない。 ? 管理者が本人の意思をしっているときや、その本人の意思を推察できるときは、それに従って仕事をしなければならない。 事務管理とは、例えば、Aの旅行中に窓ガラスが割れていたので、隣のBが雨が入らないようにと思い、ガラス屋に連絡をいれ窓ガラスの修理をした場合などのことである。 |
第698条 【緊急事務管理】 管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。 |
本人の身体や名誉や財産を差し迫った危険から守るためにその仕事を行ったときは、たとえ損害が発生しても賠償する必要はない。だが、損害の発生を知りながら仕事をすれば、賠償の義務があるし、過失で知らなかったときも同様に賠償の義務がある。 身投げして溺れかけている人を助けるようなことを、緊急事務管理という。この場合、助ける最中にその人を負傷させても、損害を賠償する必要はない。 |
第699条 【管理者の通知義務】 管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない。 |
事務管理をする人は、それをなるべく早く本人に通知しなければならない。ただし、本人が既に知っている場合はその必要はない。 |
第700条 【管理者による事務管理の継続】 管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるときは、この限りでない。 |
いったん他人の仕事を始めた以上、管理者は、本人(または本人の相続人、本人の法定代理人)がその仕事を引き継げるようになるまで、続ける義務がある。ただし、続けることが、本人の意思に反する場合や、明らかに本人の不利益になるようなときは続けなくてもよい。 |
第701条 【委任の規定の準用】 第645条から第647条までの規定は、事務管理について準用する。 |
事務管理は、他人の仕事をするという点において委任契約と似ている部分があるので、第645条から第647条の委任契約の規定に従って、経過報告や費用を清算する義務を負うことになる。 |
第702条 【管理者による費用の償還請求等】 ? 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。 ? 第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。 ? 管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前2項の規定を適用する。 |
? 管理者は、本人の利益になる費用を支出したときには、その費用を返還してもらう権利がある。 ? 管理者は、本人の利益になる債務を負ったときは、第650条第2項の規定によって、本人に弁済させたり、担保を差し出させたりすることもできる。 ? 管理者は、本人の意思に反して事務管理をしたときは、費用の全額を返還してもらうことはできない。本人が現に受けている利益の範囲内で返還を要求できるにとどまる。 |
Author:民法マン
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